Artglorieux アールグロリュー

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雲龍庵とは何者ぞ!
細部に宿る漆工の美
超絶技巧の全貌 雲龍庵と希龍舎

2017年11月9日(木)→ 22日(水)

江戸時代の高度な漆工技術を研究し、現代に蘇らせた「雲龍庵」の漆芸作品は、2002年イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館での展覧会を機に海外でも高い評価を受け、世界の日本美術コレクターの間で知られることになりました。
漆芸家・北村辰夫氏の高い美意識とあくなき探究心による作品づくりは長い時間を要し、その間には多くの失敗も経験されるといいます。しかしながら、最初に描いた作品イメージに到達するために改良を重ね、あらゆる部分に妥協することなく、納得できるまで最高の方法を模索することで、見るものに驚きを与える作品が生まれるのです。
伝統的な技術を再現するだけでなく、進化を重ねる雲龍庵。このたび、国内では久方ぶりとなる展覧会の開催により、その全貌が明らかになります。また今展では、雲龍庵の技術を担う若手作家グループ「希龍舎」の作品も併せて展観いたします。
世界を驚かせ、魅了する漆工の超絶技巧を、この機会にぜひご高覧くださいますようご案内申しあげます。

この度、大丸松坂屋百貨店様のご好意で「雲龍庵とは何者ぞ! 細部に宿る漆工の美 超絶技巧の全貌 雲龍庵と希龍舎」展を東京・大阪・名古屋にて巡回開催させていただくことになりました。
私が日本で初めて個展を開催させていただきましたのは、1996年、京都・野村美術館においてでした。そのとき、故灰野昭郎先生(当時、京都国立博物館工芸室長)が展覧会図録にご寄稿下さったタイトルが「雲龍庵とは何者ぞ!」だったのです。先生から、辛口でも良いか?とのお尋ねがあり、もちろんです、とお伝えしたことが昨日のことのように想い出されます。
古典蒔絵に特別の思いを感じたのは、1988年、徳川美術館所蔵の国宝、初音蒔絵調度を初めて目にした時のことでした。この調度品一式は、江戸時代初期、徳川家のお抱え蒔絵師であった幸阿弥家十代長重が僅か3年弱で完成させたと伝えられています。初見の折、胸に去来したのは、何とか自らの手で同じような仕事ができないものか、との強い思いでした。
しかしながら、それら江戸期の漆工作品に見る高度な蒔絵技術はすでに多くが失われており、以来、名品の熟覧や修復の機会を通して、先人の為してきた技法の解明を糧に作品づくりに取り組んでまいりました。そしてまた、あの時の思いは、2015年、46名による集団制作プロジェクト「菊蒔絵貝桶一式」の完遂に繋げることができました。
今般、志を同じくする希龍舎の面々とともに、各地で新作発表の機会を与えられましたことは、このうえもない喜びです。私の挑戦はまだまだ途半ばですし、希龍舎の漆工研究と創作活動も緒に就いたばかりで、ゴールのない試行錯誤が続きます。日本文化の華、漆工に携わる私たちは、この先もしっかりとしたものづくりへの理念、技、真摯な情熱をもって、現代に映える漆工美の復興を心掛けてまいります。
今展では、多くの皆様に私たちの「今」をご高覧賜り、厳しいご批評とご鞭撻を下さいますようよろしくお願い申し上げます。
さいごに、展覧会の企画開催にあたり、終始ご高配を下さいました大丸松坂屋百貨店様をはじめ、ご協力を頂戴した多くの関係者の皆様に御礼申し上げます。

2017年11月
雲龍庵 北村 辰夫