Artglorieux アールグロリュー

Artglorieux アールグロリュー

Exhibitions
 過去の展覧会 

春画の世界展 Ukiyo-e Shunga
2018年7月5日(木)→ 11日(水)

〈「春画」について〉
「春画」と聞いて、皆様はどんなイメージを持たれるでしょうか?
“江戸時代のエロティックな浮世絵”といったところでしょうか?もちろん間違いではありませんし、特徴をとらえた的確な表現かもしれません。しかしながら「春画」について調べてみると、それだけではなく、その芸術性や文化的価値の高さに驚かされることが多いのです。
「春画」はある特定の浮世絵師によって描かれたものではなく、菱川師宣、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、渓斎英泉、歌川国貞、歌川国芳といった多くの一流の絵師たちによって制作されました。
「享保の改革」以来、テーマや色数といった規制を受けることもあった浮世絵ですが、「春画」は規制が厳しくなるとアンダーグラウンドで制限を受けることなく制作され、一流の浮世絵師たちは存分に自分の画才を発揮し、彫りや摺りにも超絶技法を競い合いました。そのため「春画こそが浮世絵の頂点である」とも言う説もあるくらいです。
その芸術性はピカソをはじめヨーロッパの画家やジャポニズムにも大きな影響を及ぼしました。デフォルメされた表現やありえない構図は、従来の固定概念を超えたものであったようです。
「春画」はまた、江戸時代の人々の生活ぶりや価値観、文化を知るうえでも重要な役割を果たしています。
男女混浴が当たり前であった江戸時代、人々にとって男女の裸は珍しいものではなく、性に対しての考え方も、今よりももっと大らかでオープンであったようです。
大きく誇張されて描かれた男性器は子孫繁栄に繋がるものとして、また男女の交わりはおめでたいものとして捉えられていました。嫁入り前の女性や新婚夫婦にとっては性の教科書としての役割も担っていたとされています。
また、描かれている着物や髪形を見れば、当時の流行を知ることもできますし、登場人物の人間関係や状況について推し量ることができます。
一枚の作品から、江戸時代の文化や人々の価値観、流行や暮らしぶりまでも感じることができるのも「春画」が持つ素晴らしさなのです。
性が開放的な時代に、満ち足りた愛と性の喜びを「男女和合」という概念で大胆且つ繊細に表現したものが「春画」なのではないでしょうか。
会場には肉筆、錦絵(多色摺版画)の一枚ものから12枚セットの組物、春本といわれる版本の各種、手のひらサイズの豆本判も揃えました。
少々刺激的な表現の作品もございますが、芸術的・文化的な価値を感じながら、江戸時代の人々同様、大らかな気持ちでご覧いただけましたら幸いです。

この度、ギャラリーで初めての「春画」の販売企画を開催いたします。
昨年、クリスティーズオークションに出品された北斎の富嶽三十六景「神奈川県沖浪裏」が1億円以上で落札されるなど、海外でも高い評価を得ている浮世絵は日本が誇る芸術といえます。
その浮世絵の中でも近年注目を集めているのが「春画」です。2013年に大英博物館で開催された「春画 日本美術における性とたのしみ」展は、約9万人の入場者を動員し、その芸術性の高さは地元英紙だけでなく世界のメディアからも高い評価を得ました。
2015年秋、永青文庫で開催された日本初の「春画」展は、連日大行列ができ奇跡的ともいえる21万人(3ヶ月)を動員し、翌2016年春には京都の細見美術館にも巡回し、入場者数の記録を大幅に塗り替えるなど、大きな話題となりました。
中国を中心としたアジア圏の美術関係者や知識人層、一部の富裕層も「春画」の芸術的、文化的価値に注目しはじめており、今後世界の中で益々その存在感を増していくと予想されます。
今展の作品選出にあたっては、「北斎漫画」の世界一のコレクターであり、世界各国で開催される浮世絵展に協力、また、先述の日本初の「春画」展開催にもご尽力されました国際浮世絵学会常任理事・浦上満氏にご協力いただきました。
「春画」が持つ様々な魅力をご覧いただくため、奥の部屋には少々刺激的な表現の作品もございます。ご鑑賞にあたっては、ご自身の責任にてお願い申しあげます。
それでは素晴らしき「春画」の世界を存分にご堪能ください。

■国際浮世絵学会常任理事・浦上満氏による作品解説: 7月7日(土)14時~、17時~