出口雄樹(いでぐちゆうき)は1986年福岡県生まれ。2013年に東京藝術大学大学院美術研究科日本画専攻を修了後、ニューヨークを拠点に制作を行い、日本国内の他、フランス、インド、ポーランド、メキシコ、韓国、中国、台湾、アメリカ各地で作品を発表。在学中よりカラヴァッジオから北斎漫画まで古今東西を問わず多数の作品を模写・独習し、2018年に上映されたドキュメンタリー映画『大英博物館プレゼンツ北斎』では、デイヴィッド・ホックニーらと共に北斎に影響を受けたアーティストの一人として出演した。キャンバス上に、日本画材に加えてアクリル絵具、ストリートアートに使用されるスプレー等を併用し、研鑽を積んだ描画技術を駆使して具象絵画にこだわり制作を続ける。また自身の作品発表の他、展覧会のキュレーションも行い、2018年にアメリカで企画した明治以降の日本画の変遷を紹介する展覧会“Evolving Traditions-Paintings of wonder from Japan”は、ワシントンポストのアートレビューにも取り上げられ「出口は象徴的なコマーシャルアートから形態を、漫画からは吹き出しを作品に取り入れている。優雅で伝統的な作品を経て、彼の作品は未来に悠揚たる衝撃を与える。」と評された。様々な国での作品展示を経て、明治以前と現代の間で日本美術に対する認識の断絶を実感したことで、古典絵画の再解釈を行いながら、モチーフや画材を含め、現代の状況と過去を跨ぐ新たな絵画制作を目指す。
玉井祥子(たまいしょうこ)は1987年高知県生まれ。東京藝術大学音楽部を卒業後、2014年に同大学院美術研究科描画装飾(中島千波)研究室を終了。同年Japan Society NYのアーティストレジデンシープログラムで初渡米ののち、2017-18年に文化庁在外研修員としても滞在。現在もニューヨークで制作を行い、NYでの個展の他、ポーランド、香港、日本国内でも作品を発表している。玉井の作品は、人間国宝・濵田幸雄氏による“土佐典具帖紙”に鉄製のペンで描かれた墨線が、繊維として解体され、画面から浮き上がり立体的になっている点に大きな特徴がある。在学中に音楽を専攻していたことから、音という不可視の生成・消滅現象に「生」との共通点を見出し、それを目に見える形で留めるための独自の技法を探求・発見し、視覚表現へ移行したという。