Artglorieux アールグロリュー

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「前略 ウォーホル様」 高村総二郎
7月2日(木)→7月15日(水)

現代アーティスト、高村総二郎氏の個展を開催いたします。
現代アートという難解さも感じる芸術に対し、日本人ならではの細やかな伝統技術と技法を用いて絵画という表現から逸脱せず、直感的に創造する高村総二郎。
「日本と西洋」「立体と平面」「過去と現在」など、相反するものを1つの作品に落とし込むことで、新鮮で斬新な作品の数々を生み出しています。
今展では、アンディ・ウォーホルの「キャンベルスープ缶」のオマージュ作品であり、高村氏の代表作でもあるカップヌードルシリーズを中心に、纏(MATOI)、住之江(JAPANESE TATTOO)、政治家(POLITICIANS)シリーズも展示いたします。

<カップヌードル>
ポップアートの旗手とされるアンディ・ウォーホル。このウォーホルの代表的な作品が、1962年に発表された32種に及ぶキャンベルスープ缶です。
ウォーホルは、アメリカ人ならば誰もが知る、このキャンベル缶をモチーフに、シルクスクリーンという機械的な版画手法で数多くの作品を制作しました。それまでの絵画表現を否定するかのようなアートの新しい形を提示し、モダンで最先端のアメリカ社会を表現すると同時に、目まぐるしく発展するアメリカ社会の闇、大量生産と大量消費を前提とした社会へ警鐘を鳴らしました。
それから40年以上も経った2005年、ニューヨーク近代美術館(MOMA)に無断で自分の作品を展示し、世界中の話題となったのがバンクシーです。
その時に飾られたのがtesco社のスープ缶をモチーフにした作品でした。ウォーホルの作品として見られたであろうこの作品は、なんと6日間も撤去されずに展示され続けたのです。
ウォーホルから40年以上経った社会でさえ、現代アートの本質が変わらないという事を示した事件と言えます。
このような流れを受け、ウォーホルへのオマージュ、現代のポップアートのあり方を表現したのが、高村総二郎のカップヌードルなのです。
ウォーホルにとっての大量生産、大量消費の象徴がキャンベルスープであれば、日本人である自分にとって、それはカップヌードルであろうというのが高村氏の考えです。余談ですが、ウォーホルが「私の昼食は20年以上毎日キャンベルスープ缶だった」と語ったように、高村氏も毎日のようにカップヌードルを食べています。
高村氏は、2020年の現在も大量生産と大量消費の世界は変わらないが、それは、ウォーホルが懸念した過剰な資本主義や、そこから生まれる人々の虚無感に繋がるようなものではなく、私達の生活を豊かにするものと捉えています。決して否定的なものとして捉えていません。
また、大量生産=画一化という概念にも否定的です。そのため、ウォーホルがとったような機械的に複数枚を制作できるシルクスクリーン版画技法を使っていません。メインモチーフであるカップヌードルは全て手作業で描かれていますし、その背景さえも全て違った仕様になっています。
色そのものの変化、グラデーション、ドットや市松などの模様、箔の使用などにより、背景のパターンは複雑化しており、どれも独自の個性を持った作品として成立しています。
ウォーホルのように大量生産されるものをモチーフとしながらも、その制作スタイルやコンセプトは大きく異なっています。
「現代は依然として大量生産の時代ではあるが、それは過度な競争社会や人々の虚無感を誘発するものではなく、複雑化する社会では、それを生み出す者、使用する者の捉え方により、一つ一つが個性を持った物として存在し、人々を豊かにする」というのが、高村氏の制作コンセプトであり、ウォーホルから半世紀以上を経て進化した現代のポップアートなのです。

高村総二郎
1965年 大阪府生まれ
1988年 京都市立芸術大学日本画専攻卒業
2004年 第10回尖展(京都市美術館)
2008年 第27回損保ジャパン美術財団選抜奨励展(東郷青児美術館)
2011年 第5回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展三頭谷鷹史推奨(豊橋市美術博物館)
2013年 今日の墨の表現展(佐藤美術館)
2014年 尖20回記念展(京都市美術館)、
     第6回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展準大賞(豊橋市美術博物館)、
ホテルニューオーサカ心斎橋
2015年 YUMI KATSURA GLORIOUS RIMPA(PAVILLON VENDOME FRANCE)
2016年 日本美術全集20巻(小学館)に掲載
パブリックコレクション
日清食品ホールディングス、豊橋市美術博物館
®日清食品ホールディングス