古来、日本美術・日本建築において、装飾の引き立て役としての役割を果たしてきた表装素材。もう一方、着物となり人々を着飾る役割を果たしてきた織物素材。それら素材は組み合わせの妙により、作品や人という主役に密接する名脇役としてそれぞれの共通点を持つ。それぞれの素材は数多くの先人の職人の手により、研鑽を重ねた高い技術の上に作られてきました。
この度、それら価値ある伝統素材そのものに焦点をあて「line」と題して展覧会を開催させて頂きます。
日本建築においても空間装飾においても、日本独自の伝統美ともいえる水平・垂直の「線の美」。更には人の手ではどうしても作れない紙魚(シミ)による虫食い跡の「線の美」など。日々の表具師という仕事の中で見えてくる美しい「線」を作品に表しました。
――井上雅博
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🔷MASAHIRO INOUE
京表具伝統工芸士・一級表装技能士
1977 年、京都生まれ。京表具井上光雅堂 三代目表具師
神社・仏閣の表装をはじめ、日本画・書に関わる軸装・額装・屏風等、表装の新調と修復を手掛ける。近年では写真や現代アートと表具を融合させた作品の制作や、ホテルの内装装飾など、現代建築様式にも工芸を取り入れるアプローチとして、表装で使用する伝統的な材料と技法を活かし、新しいアート・デザインを取り入れた表装作品も数多く制作。京表具を通して伝統技術の継承、普及に務める。
IG:@kogado